町田

北海道の十勝平野から飛行機乗って

東日本大震災の日引っ越して東京に移住した

 

息子は中野に住んでたのに

私、一目ぼれした町田に住む

 

暑いある日、町田の駅前に立つ

上空を厚木からの戦闘機が爆音で飛んで行った

その爆音を気にもせずに人々はデパートに吸い込まれていく

 

大学生も小学生もお婆さんも。

 

もう、それが生活の一部の様に何も驚かない

私は空を見上げて立ち止まった。

 

鈍感なんだ生き方が。

 

なんだろう、この町の人は、例えば

世田谷なんかで反対運動するような建築物が出来ても

まあ、いいか。

と許してしまうんじゃないかと感じた。

 

雑多な街、掴みどころもない、

友人が来ても特に観光地もない。

 

だけど、ゆったりと落ち着く飾らない街並み。

 

なんで一目ぼれしたんだろうかと考えても

思い出せないのだ。

 

吸い込まれるように物件屋に行って

部屋を決めた。

 

三回目の引っ越しで

ここで死んでもいいかなと思う部屋を見つけた。

 

もう。

 

町田から離れない人間なんだと

 

遠い雪国の町を記憶の中から存在を亡くしていく作業をしている。

 

で、

町田

 

なんで好きなんだろう。

 

息子埼玉に引っ越して家を買い住もうと言われたけど

え。

 

町田から離れるの困る

 

意味不明の存在感になってしまった。

今日もバイト先の商店街の野良猫の餌を買って

勝手につけた名前で呼び、まぁだ?って顔で待ってるその子に

「ねえ。なんで私ここに居るんだろうね、あんたと同じ」

 

って野良人間か。